革靴が好きな方なら一度は聞いたことがあるであろう「オールソール交換」ですがオールソール交換とはどんな修理で、費用はどれくらいで、修理期間はどの程度かご存じでしょうか?
今回は修理工房で働いていたHIROsophyだからこそ語れるオールソール交換の基本をご説明します。
革靴は持っているけど修理をしたことない方や、今履いている革靴のオールソール交換のタイミングの目安を知りたいという方必見です。
1足の革靴を長く愛用するために適宜修理をし大切に使うことで、世界に1足の革靴はあなたにとってかけがえのないものになるでしょう。
オールソール交換をして大事な革靴を甦らすんだ!!
革靴のオールソール交換とは
オールソール(靴底のまるごと取り替え)
https://www.minit.co.jp/service/shoe_repair/shop/
靴底全体を丸ごと、新しい部材に交換修理いたします。長く履きたい大切な靴にオススメです。スニーカー底面の張り替えもできます。
オールソール交換とは傷んだ底材を交換することです。
歩いていれば摩耗し擦り減っていくソールですが、擦り減ったからといって履けなくなるものではなくオールソール交換をすることでまた長く履けるようになります。
オールソール交換ではラバーソールからレザーソールへ、レザーソールからラバーソールへ、カスタムの修理もできます。
(ソール素材を変更した場合は履き心地が変わります)
またセメンテッド製法のスニーカーであってもソールを剥がして代替品や似寄りのものに交換することができます。
接着痕などがアッパーに残る場合は革当てなどをして隠すことができます。
革靴のオールソール交換の相場と納期
料金 | 納期 | |
レザーソール | 15,000円〜 | 3週間〜 |
ラバーソール | 15,000円〜 | 3週間〜 |
レザーソール縫いなし | 12,000円〜 | 2週間〜 |
ラバーソール縫いなし | 10,000〜 | 2週間〜 |
ミッドソール | 3,000円〜 | |
ヒドゥンチェネル | オプション | |
リウェルト | 10,000円〜 | プラス2週間 |
オールソール交換をするにあたりやはり心配事の一つになるのが「料金」と「納期」ですよね。
「料金」に関しては私が働いていた工房を基準に書かせていただきましたが、大体他の工房の価格表を見ても同じくらいかなと思いました。ヒドゥンチャネルなどはオプションになりますが私が働いていた修理工房では0円でやっていました。またヒドゥンチャネルを選択したことで納期が伸びることはありませんでした。
「納期」には若干店舗ごと差があり、オールソール交換を3週間で行えるところもあれば1ヶ月以上かかるところもあります。納期はご利用の店舗に直接お問い合わせ下さい。
料金 | 納期 | |
レザーソール | 17,710円〜 | 1ヶ月〜 |
ラバーソール | 15,290円〜 | 1ヶ月〜 |
スポンジ底 | 15,290円〜 | 1ヶ月〜 |
デッキソール | 8,470円〜 | 1ヶ月〜 |
上記のオールソール交換の料金には中底交換を含んでいます。
中底交換は割れていたり凹凸があり過ぎる場合に交換になります。仮に中底に異常が認められない場合は上記料金から中底交換の4,400円を差し引きます。
納期に関してはどこのメーカーも一度受付した店舗から工場に送り「見積もり」を出すことになるため修理工房よりも若干長くなる傾向にあります。
年末年始、ゴールデンウィークなど長期のお休みなどがある場合は修理工場もお休みになるため、いつもの納期通りにはいかない時もあります。詳しくはメーカー修理を受付している店舗にお問い合わせ下さい。
急ぎの時は純正に拘らないようでしたら修理工房へ持ち込むと早く上がります。
オールソール+オプションで料金が決まるから、どのオプションを付けるか吟味しよう
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革靴のオールソール交換のタイミングの目安
大事なことはオールソール交換のタイミングを見落とさないことです。
オールソール交換のタイミングが遅過ぎた場合、オールソール交換以外の修理がプラスされることがあり修理代金が高くなってしまう場合があるためです。
チェックポイント① つま先
ソールの中でも一番先に擦り減る場所が「つま先」です。
つま先を前側からよく見て下さい。
ソールとウェルト(または押縁)の分かれ目が見えると思いますが、どこまで削れていますか?
ソールまでの場合は単純にオールソール交換だけで大丈夫です。
よく見るとウェルトや押縁が削れている場合は修理工房の料金形態によっては「ウェルト代金」「押縁代金」などが加算されることとなりますので、早めにつま先をチェックし〝あとどれくらいソールが残っているか〟を確認して下さい。
ウェルトが全て削れてしまっている場合はそのままアッパーも削れてしまいます。
ウェルトが残っていない場合は即修理をおすすめします。
チェックポイント② ソール
次に見て欲しいのは、「ソール」です。
オールソール交換なので当然ソール中央の擦り減り具合も見なければいけません。
今写真で私がソールの中央部分を親指で押していますが、中央部分の厚みを知ることでオールソール交換の目安を知ることができます。
ソールの中で一番体重が乗る場所がソールの中央部分であり、ここから摩耗が始まります。
穴が開く箇所といえば圧倒的にソール中央部分なため、表面を見ただけでは分かりませんが片手を靴の中に入れ、もう片方の指で押してペコペコするようでしたらオールソール交換の時期に近づいたことを確認できます。
私の経験上、中央部分を指で押してフニャという感覚がある場合はもうすぐ穴があく直前です。
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革靴のオールソール交換は製法によりできない場合があるのか
セメンテッド製法、マッケイ製法、グッドイヤーウェルト製法などがありますが、修理工房でのオールソール交換の場合ほとんどの製法がオールソール交換はできます!
ここで「できます!」と声高らかに言ったのは実際に私が働いていた修理工房では「できないとは言いません」が売りだったのでセメンテッド製法であってもオールソール交換をしていました。
セメンテッド製法がオールソール交換に不向きだというのは出し縫いがされていない点にあります。
ソール自体を圧着で留めているため剥がす際は温めてボンドを溶かしてソールを剥がします。
無理矢理ソールを剥がすと傷めることになるため手順を追って剥がします。
またアッパーに損傷がある場合、オールソール交換をすることで無理な力が加わりアッパーの革が耐えきれない場合がありますので注意が必要です。
革靴のオールソール交換時の注意点
「オールソール交換をお願いしたら修理金額が本体価格を超えるほどになった」
これはよくある話ですが、これには理由があります。
オールソール交換という修理代金の場合、単純にソールを交換した場合の金額になるためおおよそ10,000円から20,000円程度ですが、修理がソールだけにとどまらずライニングの穴の修理、腰裏(すべり)の革当てなど修理が必要な箇所が見つかった場合はオールソール交換代金プラスその他の修理箇所の代金になるため、合計すると「オールソール交換をお願いしたら修理金額が本体価格を超えるほどになった」という現象も起きたりします。
革靴によってはシンプルにオールソール代金だけで革靴本体価格の8割ほどになる場合や超えてしまう場合もありますので、オールソール交換する場合は修理工房にお問い合わせ下さい。
中底交換をする場合は、純正のメーカー以外でもできますが吊り込みをする際にラストがないためサイズ感が変わります。
革靴のソールの延命措置
オールソール交換は決して安価ではないため躊躇する場合もあると思います。
そのような時はハーフラバーを貼り〝延命措置を施す〟ことをおすすめします。
様々な理由により今すぐにオールソール交換ができない方、このままもう少し履きたい方、オールソール交換はせずに履けなくなった時点で廃棄する予定の方は傷んだソール部分にハーフラバーを貼ることでそのままもう少し履いていただくことができます。
貼る位置は踏まず部分手前までで、一番力がかかる部分をラバーで覆ってしまうことで耐久性は増しグリップも良くなります。
レザーソール自体に穴が空いていたとしても、穴をコーナーフォローの原理で埋めるためその上からハーフラバーを装着することができます。
ただソールの穴が中底まで貫通するダメージを負っている場合はソールだけ補修したところで直らないため中底の補修も必要になります。
中底の上からレザーを貼り付ける修理になるため、サイズ感は大分変わります。
中底にダメージがある場合はその時は潔くオールソール交換をし、中底交換をすることをおすすめします。
履きやすい革靴をずっと長く履くためのオールソール交換
「買い換えるか修理をするか」
大きな選択を迫られているあなた。
修理するメリットは履きやすい革靴をそのまま履き続けることができるという点です。
新しい革靴を履き下ろした時のことを思い出してください。
「革が固くて…」
「踵が擦れて…」
「甲が圧迫されて…」
「どこが痛いのか分からないくらい痛い」
と思ったことでしょう。
新しい革靴に買い換えるとなると再びこの苦痛を経験することになります。
今の革靴を修理して履くことができればその苦痛をもう一度味わうことはなくなります。
またせっかくエイジングができていい感じに雰囲気が出た革靴を手放し、また最初から育てるというのは少々時間がかかります。
コスパの面を考えても新品の革靴をもう1足購入するよりもオールソール交換の値段は安く済むでしょう。
「大量生産、大量消費」の時代は終わり今は「SDGs」の時代へ。
何百年の時を超えて、再び革靴に注目が集まることを願って。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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