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インソールを入れて革靴を履くのはダメですか?紳士靴販売員が真剣に答えます!!

黒いインソール 革靴
この記事は約26分で読めます。
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黒いメッシュ中敷

革靴にインソールを入れていると「革靴なのにインソールを入れるの!?」と反対された経験はありませんか?
そのお気持ちよく分かります!「なんで人の革靴の履き方にケチをつけるの?」とイラッとしていることでしょう。

個人の意見はあるとは思いますが実際革靴にインソールを入れて履くというのはOKなのかまたはNGなのか、可能なのか不可能なのか、一緒に考えてみましょう。
紳士靴販売員のHIROsophyが販売員の視点から答えます。

「インソール」とは?

①消臭や衝撃吸収「中敷き」または「インソール」

②足のアーチを支える「機能的インソール」

③治療目的での「オーダーインソール」

このように分類されます。

press control

革靴とインソール

ブーツにインソールを入れる

革靴にインソールを入れたい理由

単純にサイズが大きすぎる

実際インソールを入れる場合は「サイズが大きすぎて歩きにくいから」という理由が多いのではないでしょうか?
間違えて大きいサイズを購入してしまいブカブカするのでインソールを入れて履いているという方は次回は正しいサイズを購入しましょう。


もしサイズ調整のためにインソールを使用する場合はレザーで作られた薄いタイプがおすすめです。革靴がワンサイズくらい大きく感じる場合はレザーインソールを入れることでサイズの微調整が可能です。そしてレザーインソールは汗を吸ってくれるため靴の中が爽やかです。足馴染みも良いため違和感を感じにくいという特徴もあります。

足裏のアーチがなく足が疲れる

足の裏にはいくつものアーチがあり、それが様々な理由により潰れてしまっていることがあります。
その場合はアーチを矯正し作り出すことで足が劇的に疲れにくくなります。日頃あまりに足が疲れて困っているという方は一度ご自身の足のアーチがしっかり作られているかどうか確認して下さいね。

踵がブレるため固定させたい

歩行時踵が外側や内側に倒れてしまい正しい歩行ができていない場合は踵を強制的に固定することで歩きやすくなります。
O脚やX脚などを矯正するインソールもありますので症状によって選んでみるとよいでしょう。

しかし医師の診断があって初めて病名がつくため、改善されない場合は速やかに医師の診断を仰いで下さい。

革靴にインソールを入れると反対される理由

フィッティングさえしっかり行えばインソールは必要がない!?

「インソールを入れなければいけない革靴はフィッティングができていないからだ」と仰る方もいます。確かにその通りなのですが、既製靴が必ずしも足に合う方ばかりではなく実際店頭に並んでいる革靴の中では限りがあるため足に合う革靴が見つからない場合もあります。

販売員も知恵を絞りお客様に合うであろう革靴をご紹介しますが、一つの店舗で「足の形にフィットした革靴に必ず巡り会える」確率はかなり低いと思います。

そのため妥協しインソールで合わせるという場合も出てきますので「フィッティングさえしっかり行えばインソールは必要がない!」というのは一概に言えないのです。

中底の沈み込みがあるためインソールは不要!?

革靴の中
沈んだ中底

グッドイヤーウェルト製法で作られた革靴は中底が沈み込みます。それは周知の事実ではありますが、インソールを入れて履いた場合その沈み込みは甘くなります。つまり、しっかり中底が沈んでくれないのです。しっかり中底が沈まないと足の形にフィットしにくくなるので「中底の沈み込みがあるためインソールは不要!」と仰る方がおります。

このご意見もかなり正しいものと思います。

インソールを入れなければ履けない革靴は履くべきではない!?

「インソールを入れなければ履けない革靴は履くべきではない!」というのは極論のようなもので、「合っていない革靴をわざわざ履くべきではない」ということですね。しかし1,000人の人がいたら1,000人皆様全く違う足の形をしているのですから、簡単に自分の足に合った革靴を見つけることができるかというと難しいです。

私は長年靴業界で働いていますが、自分の足にピッタリの革靴を見つけることができた方は本当に運がいいのだと思っています。見渡す限り革靴が並ぶ店内で「自分に合ったもの」を見つけられなかった経験はありませんか?
逆に販売員も何千種類という革靴の扱いがあるのにも関わらず足を見て「これはなかなか難しい…」と思ってしまうことは多々あります。

ぶらっと立ち寄った靴屋で試着してみたらかなりフィットしている…買う気はなかったんだけど、という時は購入して下さい!革靴は巡り合わせです。出会いたい時にはなかなか出会えません。出会いは突然にやってくるものなので「これいいかも!」と思った時は間違いなくチャンスなのです。

革靴に入れることができるインソールとは

黒いスーパーフィート
アーチサポート機能がついたインソール

革靴に入れることができるインソールの種類

革靴に入れるインソールは何でも入ると思われている方もいらっしゃいますが、実は限られたインソールしか入れることができません。

その理由は革靴の造りとフィッティングにあります。
革靴は元々半敷といった薄い敷革がボンドで貼ってある程度でスポーツシューズのようなカップインソールとは違いますよね。(フルソックの場合もあります)
そしてフィッティングもスポーツシューズとは違いピッタリ合わせるように革靴は造られています。ピッタリ合わせる革靴に対しスポーツシューズのようなカップインソールを入れた場合フィットせずに歩きにくくなります。そしてスポーツシューズに入れるカップインソールを入れた場合窮屈になり過ぎて痛みが出たりすることもあります。

そのため革靴に入れることができるインソールは限られています。履き心地やフィット感など大きく変わることがない範疇で入れるものは「薄いインソール」です。

特におすすめしたいインソールはレザーのタイプで厚みが3mm程度のものです。たった数mmで履き心地やフィット感は大分変わりますし、サイズが大き過ぎて入れる場合はキュッと締まった感じがし歩きやすくなります。

革靴にインソールを入れた時の効果

インソールを入れることで良いこともたくさんあります。革靴について困っている部分をカバーできるならインソールを入れて改善させるのも良いでしょう。

脱臭・除湿の効果のあるインソール

ライニングが革の場合は汗を吸ってくれ匂いも抑えてくれますが、それでも匂いや湿気が気になる場合は脱臭・吸湿性の良いインソールを入れることで改善されることもあります。

靴の中はたくさんの汗が溜まりなかなか乾燥しないため常に半乾きの状態になると匂いが気になるようになります。そのため毎日同じ革靴を履くのではなく3、4足をローテーションし履くことで汗が乾燥し匂いを軽減させてくれます。

足裏のアーチをサポートし疲れにくくさせるインソール

足の裏にはいくつものアーチがあります。
このアーチが何らかの理由により潰れてしまうと「扁平足」などの足のトラブルが起こります。特別に違和感などなければ良いのですが、「足が疲れてしかたがない」「骨が痛む」など靴を履くことで不都合が起きる場合はご自分の足が健康な状態であるか一度調べ、アーチが潰れていた場合は矯正するインソールを入れることで改善されることがあります。

アーチサポートとはインソールの膨らみによって失われた足の裏のアーチを復活させ、足のトラブルを軽減させるインソールです。必ずしも足のトラブルが解決されるわけではないので、色々試し改善されない場合は医師の診断を受けて下さい。

サイズの微妙な調整が可能なインソール

「サイズを一つ上げると踵周りの長さが長くなり隙間が生まれる、しかしこのサイズでは甲周りがキツい」

こういうジレンマに悩まされ困ってる方にお教えしたいのは、まず甲周りの長さで合わせて踵の隙間には前半分だけの薄いインソールを入れて合わせることで甲周りはピッタリした状態で調整することが可能です。

もちろんインソールなしで甲周りや足長がピッタリした革靴が見つかれば良いのですが、実際は履きたいデザインの革靴がご自身の足にピッタリ合う確率は低いということを考えると、既製靴に少し手を加えてピッタリするようにすれば問題は解決されます。

どうしても革靴にインソールを入れたい場合おすすめのインソール

踵に入れるインソール
踵をホールドしてくれるインソール

厚みは薄い方がいい

革靴にスケールを差し込む

実際に測ってみます!
何も入れていない状態でスケールを差し込みます。

踵の深さをスケールで測る

何も入れていないと踵の部分の深さは5.5cmくらいです。

インソールを入れた状態でスケールを差し込む

今度は踵にインソールを入れた状態でスケールを差し込みます。

インソールの上から踵の深さを測る

インソールを入れた状態では踵の深さは4.5cmくらいになりました。

私は踵を固定させるインソールを入れて履いていますが、インソールを入れることで踵の深さが浅くなり若干浮きやすくなります。
気を付けていただきたいのでインソールを入れることで歩きにくくなることもあるということです。

前部分だけのインソールが良い場合

甲の部分が少し余っており空間が空くことで歩くたびに革靴の中で足がズレる場合です。
革が伸びると一層余裕は生まれてしまうため、その場合は踵を浅くすることなくピッタリさせるため前半分にインソールを入れます。

前半分にインソールを入れることによって甲の部分の空間が埋まりピッタリした履き心地になります。また前半分に入れるタイプのインソールは踏まず部分を漉いているものが多いため、境目が気になりにくいという工夫がされています。

踵がブレ膝や腰まで痛くなる時

これは正に私のことなのですが、踵の骨が外側や内側に倒れているため真っ直ぐ歩行ができず膝や腰に負担がかかり痛みにつながることもあるということです。中底が沈んでくれても骨の歪みまでは治すことができないため踵をしっかりホールドしてくれるインソールを入れることは悪いことではありません。

様々なタイプが販売されているため店頭にサンプルがあれば一度入れてみてどの程度の厚みがあって、違和感はどの程度なのかを確認することをおすすめします。

革靴にインソールを入れることは悪ではない!!

クラシックの革靴にインソールを入れるというのは確かにご法度のように考える方もいるとは思いますが、私が長年靴業界に携わり常日頃思っているのは「たくさん市販されている革靴の中から自分の足に合う革靴を見つけることは非常に難しい」という結論です。
Crockett&Jonesのオードリーは比較的色々な方の足に合いやすいと言いますが「合いやすい」であって「合う」わけではないのですから。

人の顔がそれぞれみんな違うように人の足も顔と同じくらい全然違います。しかし既製靴はターゲットの標準(平均)で作られているので必ずしも合うとは限らず、特にその中でも気に入ったデザインの革靴が足に合う確率というのは低いことが分かります。

それでも諦められない気持ちは本当によく分かります。人には趣味嗜好があるので履き心地が良くても嫌いなデザインのものを履こうとは思いませんよね。そういう時のためにインソールがあります。既製靴を自分流にカスタマイズすることで違和感なく履くことができるようになるのです。

これらの理由から紳士靴販売員という立場からしてもインソールを革靴に入れることに反対しません。しかしインソールを入れることで履きにくくなることがあることを忘れないで下さい。
今は様々なインソールが販売されています。足のトラブルに合ったものを選んで下さいね。

最後までお読みいただきありがとうございました!
またここでお会いしましょう!

純正の靴紐から好きな靴紐にカスタマイズしてもいいんですよ!

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