
革靴デビューをした皆様は一番最初に履いたブランドは何でしょうか?
私が接客中よく聞くのが「学生の頃はリーガルのローファーを履いていたよ」というお声をよく耳にします。
年輩の方にとってリーガルは学生靴のイメージがあるようです。今もお子様にリーガルのローファーを選んであげる親御さんをよく見かけます。やはり、リーガルは革靴のファーストシューズのような存在なのかもしれません。
そこで今回は革靴のファーストシューズのような存在の「リーガルシューズ」を紳士靴販売員の視点からご紹介します。
リーガルシューズの歴史

- 1961年 アメリカ ブラウン社と契約締結。リーガルが日本に上陸
- 1963年 銀座にVAN-REGALがお目見え。
- 1964年 ヴァン・ヂャケットのジョイントでVAN-REGALを全国発売
- 1967年 トラディショナルブランドKENT-REGALがリリース!
- 1969年 No.2504が新製品として発売。今も尚大人気の定番型番。
- 1970年 リーガル専門店が東京駅八重洲口に1号店オープン!
- 1971年 リーガルのローファーNo.2177がデビュー!
- 1972年 リーガル婦人靴生産&販売開始
- 1974年 リーガル修理専門店リーガルシューバーが東京駅八重洲口にオープン
- 1976年 Rマークのテニスが発売し伝説的な大ヒットに。このスニーカーは今も尚大人気!
- 1986年 クッション性に優れ軽量なリーガルプロウォーカーがデビュー。
- 1990年 アメリカブラウン社からリーガル商標権を取得!!
- 2010年 靴関連資料を保存するリーガルアーカイブスがオープン。
- 2015年 リーガルプレミアムラインが婦人靴よりデビュー!
リーガルシューズの代表的な革靴
サドルシューズ
リーガルシューズのサドルシューズはリーガルシューズの代表的な商品ともいえます。
アッパーには馬のサドルのようなパーツをあしらったデザインです。リーガルは元々アメリカのブランドということもあり、アメリカの要素を多く含んでおりツートンカラーになりました。
リーガルシューズのサドルシューズのアッパー素材はガラスレザーを採用し表面に樹脂加工を施しているため耐久性や耐水性があります。また艶が元々あるガラスレザーは乾拭きまたは少量の靴クリームを使用し磨けば驚くほど艶が出るのでお手入れは簡単です。
ソールは合成ゴムを使用しグッドイヤーウェルト製法で作られているためオールソール交換にも適しています。1足を長く愛用したい方はグッドイヤーウェルト製法の革靴を選ぶとよいでしょう。
サドルシューズは王道のトラッドファッションにピッタリ合います!
クラシックなファッションが好きな方や、トラッドが好きな方にはぜひ履いて欲しい1足です。
紳士靴販売員がリーガルシューズをおすすめする理由
リーガルシューズは認知度が高いだけでなく、今までその歴史が続きたくさんの革靴を販売してきた歴史を考えるとただの製靴会社ではないことが分かります。
「なぜ売れるのか?」
単純なことなのですが、メーカーは売れなければ繁栄もなければその認知度も上がることがありません。ここまで大きな会社になったのはその“革靴”に答えがあります!
コスパが良く高品質である
リーガルシューズといえばコスパの良さが有名ですね。
リーガルシューズのドレスはメーカー販売価格22,000円(税抜)前後から販売されており、この価格であってもしっかりとダシ縫いが施されています。
定番の811Rはマッケイ製法で作られ22,000円、315Rはグッドイヤーウェルト製法で作られメーカー販売価格27,000円(税抜)という衝撃的な価格です。
この22,000円という価格は靴修理をやっていた私にとって驚くべき価格です。その理由は、オールソール交換などで修理を承るとラバーソールで約15,000円程度します。修理であってもそれくらいの価格になるのですが新品が22,000円となるとその手間賃や技術料、販売手数料などを含めても信じられない価格というのがお分かりいただけるでしょう。
高い技術を採用
低価格であることは先にお話ししましたが技術的にはどうなのでしょうか?
これも本当に驚くべき事実がリーガルシューズにはあります。
紳士靴といえば凝ったデザインや複雑で技術力の必要なオプションがたくさん見受けられます。低価格だからそのような紳士靴らしいオプションがないわけではないのがリーガルシューズです。
リーガルシューズでは矢筈仕上げやメスウェルトなど職人の技術が試される、そしてセンスが要求される作りがいくつもあります。矢筈仕上げといえば大塚製靴、メスウェルトといえばCrockett&Jonesなどが使用しているよりドレッシーに見える製法です。
そんな素晴らしい技術や製法を採用したら価格がリーズナブルではなくなってしまうことを心配している方、再び驚いて下さい!
なんと3万円台からございますよ!
リーガルシューズの中でもレザーソールを採用しているモデルはより高い技術を惜しみなく披露していますので、ぜひチェックして下さい。
抜群の耐久性

“耐久性”というとどんなイメージでしょう?
リーガルシューズの耐久性の一つにブロックヒールを採用していることがあります。
よくある踵は積み上げ革とトップリフトがあるものやトップリフトのみを交換できるものなどありますよね。それはおしゃれで大変良いのですがトップリフトが削れた時点で修理をする必要性があります。
トップリフトの厚みは約4-6mm程度です。よく歩く方ならすぐに擦り減ってしまう厚さです。そこでリーガルシューズは簡単には交換修理に至らないブロックヒールを採用しています。
完全に予測でしかないのですが、このブロックヒールはユーザーのお財布事情まで考慮してのことだと思います!
修理までの期間が長ければ長いほどユーザーは嬉しいはずです。

サイドから見ると5mmほど削ってあります。
これはブロックヒールに一手間加えてトップリフトに見えるよう加工しているのです。
私が働いていた靴修理の会社ではリーガルシューズのブロックヒール交換の際はリーガルシューズ純正を真似て5mmほどフィニッシャーで削り似寄りの感じに仕上げていました。
機能性に優れている
リーガルシューズといえばクラシックな雰囲気のある定番ドレスもありますが、機能性が充実しているドレスも有名です。
ゴアテックスやスコッチガードを使用した革、クールマックスという吸汗、速乾性に優れたライニング素材、リーガルウォーカーなどに使用されているN-flexというあおり歩行をサポートするシステムなどがあります。
ハイスペックな機能を革靴にプラスすることでより歩きやすく、ストレスの少ない革靴を実現させています。
紳士靴販売員がおすすめするリーガルのモデルをご紹介
エアーローテーションシステム

歩行から生まれるエネルギーで空気を靴の中に循環させる仕組みです。
踵にはポンプがついており中底には複数の穴が空いており常に快適な履きご心地を実現させます。
指で踵のポンプ部分を軽く押すと凹みます。歩くたびにポンプが押され空気を循環します。
踵の片減りでポンプが傷んでしまわないか心配される方もいらっしゃいますが、ポンプは踵のほぼ中央に位置しており片減りなどではほぼ削れることは考えられません。
オールソール交換もできますので、履き潰しではない安心感もあります。
ゴアテックス

言わずと知れた防水耐水性、透湿性を兼ね備え、足をドライな状態に保ってくれる機能性がある防水シューズです。
ゴアテックスはリーガルシューズだけではなく、アウトドア製品のウェアやグローブなどにも使用されている素材です。
このマークを見たことがある方も多いのではないでしょうか?

内側にゴアテックスファブリクスを使用しています。
アッパーは撥水レザーを使用。
リーガルのゴアテックスシューズはオールソール交換が可能な商品もあります!
しかしオールソール交換は完全防水の観点から1回とされています。
ガラスレザー

ガラスレザーとは、舐めし後の乾燥工程をガラスやホーロー加工された鉄板に貼り付け、吟面を少し削り合成樹脂などで仕上げる革です。
革靴はお手入れをすることで長持ちする
リーガルシューズのガラスレザーは他のレザーに比べてもお手入れのしやすさは抜きに出ています。
軽く乾拭きするだけで綺麗になりますし、艶が落ちたと思った時は少量の靴クリームを使用するだけで艶々になります。
すなわち複雑なお手入れが要らないレザーがガラスレザーです。
お手入れが苦手な方や道具をお持ちではない方にはリーガルシューズのガラスレザーがおすすめです。
靴業界の人間として

仕事として革靴を扱い販売していますが、何も考えず仕事をしているわけではないのです。当然革靴に魅せられその面白さにハマってしまったからこれだけ長い間革靴に携わってきました。
自分の会社だけを愛するのではなく、他社にもとても興味があります。
製靴会社は他にはない特徴をいくつも持っており、パッと見ただけでもその特徴はハッキリしています。
リーガルは言わずと知れたガラスレザーですし、マドラスはアッパーに施されたパーフォーレーションに特徴があります。
「あっ、これマドラスっぽいね!」
という会話が自然に出てくる靴業界人間同志ただ革靴が好きという同じ気持ちで繋がっています。偶然に出会った人たちは同じ気持ちを通じて深く理解し合って、その仕事にプライドを持っています。そんな仲間が私にとってとても大切で、毎日勇気づけられています。
「あなたは好きなことを仕事にしているんだからいいじゃないか」と言われることもありますが、“好きなことが仕事になった”のではなく“仕事を好きになった”のです。鶏と卵の話に似ていますが、私が最初から革靴を好きだったわけではなく仕事として携わるうちに自分自身が革靴に魅せられたのです。
「そんなに好きなことがあって羨ましいよ」と言われますが、好きなことは見つけるしかありません。向こうから勝手に好きなことがやってくるというようなそんな甘い世界はありません。
私の周りには靴業界歴20年以上の方が多いですが、そういう方はただ革靴が好きという方は少なくなりません。20年以上靴業界にいても尚もまだ「革靴は痛いもんだよね。それを超えて馴染むんだから」というようなまるで革靴初心者のようなセリフを言い合って笑い合っている私たちは多分純粋に革靴を好きなのだと思います。
好きだけでは続けることはできませんが、必死に言葉を選び説明し言い方や表現方法を変え通じた時の喜びは一入です。愛想だけでもやっていけないし、好きだけでもやっていけないし、どちらもバランスよく持ち合わせた人間だけがこの靴業界に残っている気がします。全ては偶然なのかもしれませんが、私の中に革靴がいることは必然なのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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