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革靴の製法グッドイヤーウェルト製法とマッケイ製法の違いを解説!

革靴
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今回は現役紳士靴販売員のHIROsophyが革靴の製法についてお話ししたいと思います!

私は前職靴修理をしていたので製法などは大好きな分野です。靴修理の場合オールソール交換が殆どの仕事になり、毎日毎日靴底を剥がす仕事をしていました。靴底を剥がすというのは簡単そうで実は結構力が必要で大変な仕事です。

剥がし方というのはその靴の製法により変わります。つまり私は靴底を剥がすという作業を通じて靴底を剥がした中の状態を何度も見て勉強していたのです!

通常見ることができないものなので貴重な体験でした。

そんな私が皆様が革靴を選ぶ際少しでも参考にして頂ければと思い、一番有名な靴の製法をご紹介します!

革靴の製法

革靴には幾つかの製法がありそれにより価格や重さ、耐久性などが変わってきます。

例えばグッドイヤーウェルト製法とマッケイ製法以外でしたら、セメンテッド製法やボロネーゼ製法、ブラックラピド製法、ステッチダウン製法などがあり製法によって外観なども大きく変わるためその用途に合った製法で作られています。

質実剛健な作りのグッドイヤーウェルト

グッドイヤーウェルト製法

甲革と裏革等の部材を縫い合わせたアッパーと底のなる部分をジョイントさせる製法で、すくい縫いをした後中物とシャンク(靴の背骨に当たるもの)を詰めてから本底とウェルトを出し縫いします。

中物はコルクや天然素材を使っている物が多いです。この中物はクッションの役割をし、体重がかかることで中底と一緒に沈みます。

グッドイヤーウェルト製法の4つの特徴

①中底が沈み履いていくうちに馴染んでいく

中底の下に中物が詰まっているため体重がかかることにより沈んでいき、足形が取れ履いている人にピッタリの革靴が出来上がります。

そのため店頭で試し履きをした時よりも馴染んだ後はサイズが大きくなったように感じます。

②マッケイ製法の靴よりホールド感が強い

この製法によってソールの厚みも違い、ウェルトも縫われているためマッケイ製法の靴よりも最初は屈曲はし難いです。そして革が馴染むのに時間がかかるため足全体を押さえつけられているような感じがします。

私はグッドイヤーウェルト製法の革靴が好きなので殆ど革靴はグッドイヤーウェルト製法を選んでいますが、毎回新品はガッチリと押さえつけられることを覚悟して履いています。最初は少し大変ですが馴染んでくると嘘のように履きやすくなるのが特徴です。

私は、その革靴の変化に毎回驚き、中物の存在を感じるのです。

「中物が沈んでくれたぁ〜」

③雨に強い!

雨に強いのいうのはマッケイ製法と比べた時、ソールと中底を直接縫い合わせている製法ではないので雨の侵入がソールのステッチからはしないという意味です。

革靴なので上からの雨などにはやはり弱いのですが、直接ソールのステッチから入らないというのは雨の日に履ける大きなポイントです。

④オールソールに向いている!

グッドイヤーウェルトという製法は、オールソールするために作られたようなものでその回数に制限がありません。中底が問題なければ何度でもオールソールができます。仮に中底が割れてしまった場合は、中底の交換になりますがラストを使って再度吊り込みます。ラストを使わずに中底交換をした場合は、残念ながら革靴のフォルムが変わってしまい履き心地までもが変わるためお勧めはしません。

グッドイヤーウェルト製法で作られているブランド

スコッチグレイン、JOHN LOBB、Tricker’s、REGAL、Crockett&Jones、EDWARD GREEN、GAZIANO&GIRLING、Church’s、CHEANEY、GRENSON、GEORGE CLEVERLEY、Foster&Son、J.M. WESTON、CARMINA、YANKO Alfred Sargent etc…

※一部のブランドはマッケイ製法の扱いもございます。

軽くてシンプルなマッケイ

マッケイ製法

甲革と本底を張り合わせた後、甲革・中底・本底を一緒に縫います。

その為中底を見るとステッチが目で確認できます。

マッケイ製法の5つの特徴

①返りが良い!

常にグッドイヤーウェルト製法の革靴ばかり履いてきた私が初めてマッケイ製法の革靴を履いた時本当に驚きました。

「痛くない…!」

返した時にスムーズに屈曲するので違和感がなく、足に優しい感じがしました。

そういう点でグッドイヤーウェルト製法と比較した場合は最初のストレスが少ない製法と言えます。

②履き馴染みが良い!

マッケイ製法には中物はありませんし、ソールはグッドイヤーウェルト製法と比べ薄いため馴染みも早いのが特徴です。

お仕事などで履き慣らしている時間がない方はマッケイ製法をお勧めします

③軽い!

ウェルトもなくシンプルな作りのマッケイ製法は使っている部材も少なく軽量です。持って頂くとすぐにお分かりになるかと思います。

④スッキリとしたデザイン

イタリアやスペインの靴によく使われるマッケイ製法はスッキリとしています。

ウェルトの代わりに押縁を使い、コバの張り出しもグッドイヤーウェルト製法と比べると内側に入っているため、靴自体が細く見える特徴があるからです。

スタイリッシュなデザインの革靴に多く使われる製法です。

⑤マッケイ製法のオールソールについて

これを聞きたい方は多いのではないでしょうか。

マッケイ製法はオールソールができるのかどうかについては「もちろんできます!!」、しかし回数が大体決まっており1〜2回程度です。これは靴修理屋で働いていた経験からですが、そのくらいだと思います。

なぜなら、マッケイ製法は中底を表底と一緒に縫うからです。中底には縫っているために穴が開いておりオールソールの回数が増えるとその穴は増えます。つまり穴だらけになってしまうのです。穴だらけになると中底が割れステッチが切れたりすることもあるため私は1〜2回程度をおすすめします。

中底はオールソールをするしないに関わらず割れます。普通に履いているだけでもマッケイ製法の場合は表底から雨が侵入してしまうため中底がグッドイヤーウェルト製法より傷みやすいのです。その傷みやすい中底を何度も縫うことができるかどうかということがポイントになります。もちろん履き方やお手入れをしているかどうかで大きく変わってきますが、基本的にはオールソールを1〜2回程度で行えばかなり中底にもダメージがある状態になっていると思われます。

では、中底交換をすれば良いのでは?と思われる方もいらっしゃると思いますが中底を交換することは可能ですが履き心地が大分変わりますし見た目のフォルムも変わります。そのことを踏まえますと、中底を交換してのオールソールはそれなりにリスクが伴うことをご理解下さい。

マッケイ製法で作られているブランド

Santoni、MAGNANNI、G .H BASS、Francesco Benigno、FABI、a.testoni etc…

グッドイヤーウェルトVSマッケイ 結末は?

沢山の紳士靴を販売している私が思うのはそれぞれに良いところがあるため、グッドイヤーウェルト製法の方がいい、マッケイ製法の方がいいということは言えないということです。

履く人がどんな革靴が好きかにより変わり、二つは履き心地や見た目は全然違うので好みに合わせて選んで頂くのが一番だと思います。

因みに私は、グッドイヤーウェルト製法が好きですよ。

最初はかなり痛いですけど、結局馴染めば凄く履きやすいからです!

皆様もお気に入りの一足を見つけて下さいね!

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