革靴のデザインはどんなものがあるの?
革靴のデザインは主に、ストレートチップ、プレーントゥ、Uチップ、ウィングチップ、シングルモンクストラップ、ダブルモンクストラップ、パンチドキャップトゥ、オペラパンプス、ローファー、タッセル、キルト、チャッカブーツ、サイドゴアブーツなどカジュアルからフォーマルまでたくさんあります。紳士靴は婦人靴と比べてバリエーションが少ないと言われがちですが、実際たくさんあり選ぶのにも困るほどです。
革靴の選び方はどうすればいいの?
どんなシーンで履くのかによりビジネスなのかカジュアルなのかで選ぶ革靴も分かれますよね。
カジュアルな革靴
お仕事以外ではレザースニーカーでも良いですし、タッセルやキルトのついたスリッポンもおすすめです。例えばお仕事でお使いのUチップの革靴をお持ちでしたらUチップは少しカジュアルなデザインですので、そのまま普段履きにして頂くこともできます。今ではクールビズのファッションも浸透しており、夏場になるとお仕事でもスリッポンを選ばれる方も増えています。あまりカジュアルダウンしたくないという方はローファーを選ばれるとよいと思います。
ビジネスで使える革靴
お仕事で履かれる場合は、やはりスーツにあったものをお選び頂く必要があります。
そこでおすすめしたいのは「黒のフォーマル」です。フォーマルシューズの定義は決まっており、内羽根のストレートチップです。ストレートチップとは爪先に横一文字にステッチが入っているものを指します。他の言い方では「キャップトゥ」とも言うこの形は冠婚葬祭にお使い頂け、それ以外全ての場面で履けるという優れたデザインです。1足はあった方がいい、というよりも1足なければ困る形なのでお仕事で探されている場合はまずこのフォーマルを揃え、次に外羽根のプレーントゥを揃えるのがよいと思います。
紳士靴販売員がおすすめする革靴のブランド10!!
紳士靴にハマったきっかけは革靴が持つ「ロマン」でした。この現代に暮らしていると自分が生まれてもいない過去に遡って物思いに耽ることは数多くはありませんでしたが、革靴を見ていると自分の知らない土地で何百年もの昔に誕生したことを想像するのです。その世界観が私を魅了したのです。
ALDEN(オールデン)
創業:1884年 アメリカ・マサチューセッツ州ミドルボロウ
初期の製品はカスタムメイドのブーツや、受注生産による紳士靴でした。後に足に問題を抱えた人でも履くことのできる医療用矯正靴を作りました。その靴がオールデンで有名なモディファイドラストです。
モディファイドラストとは内側にカーブがかかり丸みを帯びたラストのことでより快適で履き心地の良い靴を追求しています。オールデンの靴は現在でも昔と同じミドルボロウの工場で作られています。上質な素材を使った伝統的なグッドイヤーウェルト製法の靴の生産と矯正靴の研究・開発、130年を超えるブランドの歴史を守り続けています。
Crockett&Jones(クロケットアンドジョーンズ)
創業:1879年 イギリス・ノーザンプトン
クロケット&ジョーンズは世界中で最も多くのラストの種類を持つ靴メーカーです。1924年には当時のイギリスであるジョージ6世も認める高品質な既製靴を作っていました。そして、「ポールセン・スコーン」、「ジョージ・クレバリー」、「ジョン・ロブ・パリス」などのビスポーク靴店の靴を高級既製靴ブランドとして製品化させたことでも評価され、数々の有名映画に靴を提供し世界中のファッションブランドから多くの支持を得ました。
1足靴を作り上げるのに8週間かかるといわれるクロケット&ジョーンズの妥協を許さない靴作りは幅広い世代から愛されています。クロケット&ジョーンズの超有名モデルといえば「オードリー」。スクエアトゥですが少し丸みがかったキャップトゥが本当に綺麗で美しいです。
EDWARD GREEN(エドワードグリーン)
創業:1890年 イギリス・ノーサンプトン
最高級のカーフスキンを使用し職人による伝統的技法で作られるグッドイヤーウェルト製法は「でき得る限りの上質を求める」というエドワードグリーンの哲学そのものです。
イギリス靴の中でも最高峰の評価を得ているエドワードグリーンの人気はジョンロブに並ぶほどで靴愛好家だけではなく、同業の靴職人ですらその高品質な作りに感動しています。内羽根ストレートチップの「チェルシー」やUチップの「ドーヴァー」は名作です。
Church’s(チャーチ)
創業:1873年 イギリス・ノーサンプトン
アメリカのセレブや007のジェームスボンドも愛用することで知られているチャーチは正統派のイギリス靴として不動の地位を確立しています。チャーチはグッドイヤーウェルト製法により作られ、その工程は1足250にも及びます。チャーチの特徴はその素材となるポリッシュドバインダーカーフです。似ている素材にガラスレザーがありますがチャーチの皮革は表面に樹脂加工を施すことで高い防水性を備え、厚みのあるカーフレザーを使用しているためガラスレザーのような細かなシワが入りにくく履き込むほどに屈曲部分には美しい滑らかなうねりを作り出します。
ガラスレザーはどうしても折れるようなシワが入ってしま雨ことが特徴ですが、同じような光沢がある見た目においてそのようなシワが入らないというのは「美」を保つにはとても重要です。
J.M Weston(ジェイエムウェストン)
創業:1891年 フランス
エドワール・ブランシャールが1891年に作った靴のメーカーで、フレンチトラッドの代表的ブランドです。創業者の息子がアメリカ留学した際に習得したグッドイヤーウェルト製法も採用しています。オリジナルのゴムソールや分厚いダブルソール・トリプルソールも使用し、シンプルの中にバラエティに富んだデザインもあります。
オリジナルのゴムソールだけでなく、「超低適植物性革なめし」という伝統的な鞣しの工程を持っているという革に拘った靴メーカーであることが分かります。
「鞣し」とは皮から革にする際に行う工程です。クロム鞣しやタンニン鞣しなどがあり、鞣し方により革の特徴なども変わります。私はローファーといえばJ.M Westonだと思います!最初に手に入れるローファーはウェストンがいいです!
JOHN LOBB(ジョンロブ )
創業:1866年 イギリス
1866年ジョンロブは第1号店をリージェントストリートにオープンさせ当時のブーツ職人として一流の地位を築き上流階級、政治家、財界エリートに向けたビスポークシューズの受注を開始しました。つまり富裕層向けにビスポークシューズを作っていたということです。そちらも大成功を収めその後現代でも非常に人気があるモデル「WILLIAM」や「LOPEZ」を世に出し、繁栄し続けました。
パリに進出したジョンロブは、1976年エルメスグループに入り、ロンドンのビスポーク専門店だけは一族の手に残り活動を続けています。現在は既製靴はパリ、ビスポークはロンドンと分けられ製造されています。1994年ジョンロブはノーザンプトンにファクトリーを作り既製靴のデザイン、ハンドメイドによる靴の製作はここで行われています。
そしてジョンロブのお家芸ともいえるビスポークは現在もパリのモガドー通り32番地のアトリエで行われ、既製靴は190の工程を経て作られジョンロブの起源でもあるビスポークの精神が生きています。定番。新作。カジュアルシューズまでお客様のために現在も伝統を守り作られています。
Tricker’s(トリッカーズ)
創業:1829年 イギリス・ノーサンプトン
イギリス最古の製靴業者であるトリッカーズを創業したのはジョセフ・トリッカー(Joseph Tricker)です。トリッカーズといえばカントリーブーツですが、こちらは何度もモデルチェンジをした後1926年現代の形に落ち着きました。
トリッカーズの防水性・耐久性・実用性。履き心地がイギリス中の農民から信頼を得て大人気になりました。1989年、トリッカーズはウェールズ公チャールズ殿下により「イギリス王室御用達」の栄誉を授かりました。
チャールズ皇太子といえば「超おしゃれ」で有名ですよね!私の脳内ではトリッカーズを履いているチャールズ皇太子が見えます。2019年1月28日にはノーサンプトンの工場にウェールズ公(チャールズ皇太子)をお招きし記念銘板の除幕式を行いました。トリッカーズ創業190年でした。190年経った今もなおトリッカーズは世界中から愛されています。私も一番愛している革靴はTricker’sです!
Paraboot(パラブーツ)
創業:1878年 フランス
靴革裁断師のレミー・アレクシス・リシャールがフランスのイゾーという村で企業家や軍関係者、登山家などに対してオーダーメイドの靴を販売し始めした。1927年、天然ラテックスをブラジル・パラ港から直輸入しラバーソールの靴を生産を開始し、そのブランド名を「バラブーツ」と名付けました。
「パラブーツ」のパラとはブラジル・パラ港からとって名付けられたのです。1945年には現在大人気の「ミカエル」を発売します。普段「ミカエル」と当たり前のように読んでいますが、「ミカエル」という名前は3代目のミッシェル氏の名前をラテン語読みしたものです。1987年には「ミカエル」と同じくらい人気のある「シャンボード」を発売します。シャンボードはUチップの代表的な名品ですよね。
Parabootは履くとすぐ分かるのですが驚くほど歩きやすいです。見た目は少しゴツいですが、想像を超えるほどにソールに弾力性があり本当に疲れず女性にも大変人気がありますよ。
Dr.Martens(ドクターマーチン)
創業:1901年 イギリス・ノーサンプトン
1901年イギリスのノーサンプトンにて製靴業を始めたグリッグス家はその後60年あまり耐久性のあるワークブーツを作る老舗製靴業として知られていました。
1945年、兵役に従事していたクラウス・マルテンス25歳がエアクッションソールを発明し、戦後に残っていた靴修理屋の靴型と針を廃物利用し靴の試作を機械工学の知識を持つ旧友ヘルベルト・フンクに見せ二人はビジネス契約を結びました。
1947年までに正式に生産を開始し10年も経たないうちに繁盛し始め1959年に二人は海外の雑誌などに宣伝することを決めました。グリッグス家の三代目ビルが兄弟のレイとコリン、息子のマックスと会社を運営していたある日、靴業界の雑誌にドイツ人が掲載したエアクッションソールの広告があり、すぐにエアクッションソールの製造許可を取得し変更と改善を加え、シンプルなアッパー、イエローウェルトステッチ、ツートンの溝つきソールエッジ、ユニークなソールパターンを備えたブーツを製造しました。
その名を「Air Wair」と名付けWith Bouncing Soles(弾む履き心地のソール)というキャッチコピーと共に販売されました。その生産ラインが1960年4月1日に開始したことから「1460」と名付けられた8ホールブーツは音楽カルチャーと共に若者に浸透し、瞬く間に広まりました。パンクやロックなどのアーティストがドクターマーチンを好む理由はこういう背景があったのです。
私も履いていますが、ドクターマーチンはレザースニーカーのような履き心地でクッション性が本当によく疲れないですよ。
REDWING(レッドウィング)
創業:1905年 アメリカ・ミネソタ州レッドウィングシティ
元々靴作りで成功していた創業者チャールズ・ベックマン氏と仲間14人で設立した会社がレッド・ウィング・シュー・カンパニーです。元々は農業や林業を営む人のために靴を作っていましたが、その質実剛健な靴は支持を集め1908年位は1日450足を仕上げるほどに急成長し、現在でもバイカーやアウトドア好きに愛されています。
レッドウィングはMade in USAに拘りクオリティの高い靴を作り続けています。またアメリカの最大のタンナー「S.B.フット社」を傘下に持つためレザーの開発段階から自社で行えます。革の厚みは2mm以上もあり、中底の下にはコルクがたっぷりと敷き詰められ履けば足形に沈み込みます。そんなレッドウィングを私も履いていますが、恰好いいのはもちろんなのですが、ものすごく頑丈です。やはりそこはワークブーツなので足の上に鉄のバーを落としても私の足は何ともありませんでした。
革靴のデザイン別おすすめコーデ!
ここからは革靴を使ったデザイン別のコーディネートをご紹介します。革靴はブランドの歴史からも分かるように海外で作られ後に日本に入ってきました。日本で西洋の靴が履かれるようになったのは江戸時代末期から明治時代の初期頃とも言われていますので日本の靴の歴史は200年あるかどうかです。ということで着こなしなども海外のシンプルコーディネートを参考にして、革靴を恰好よく履きこなしましょう!
ブラックシューズ
ただの真っ黒な革靴をこのように履きこなすことができるのは本当にセンスが良いと思います。恰好いいですよね。でもよく見て下さい、洋服は本当にシンプルなもので特段変わったものを取り入れていないんですよ。
つまりブラックシューズは、シンプルな服装にピッタリ合う!ということですね。これなら真似しやすく今お家にある洋服と合わせることですぐ恰好よくなれます!
ブラウンシューズ
茶靴は本当に色の幅広く、明るい茶色から暗い茶色まで全て「茶色」です。黒色と違い提案が難しい茶靴は、スーツならネイビーやグレーが合いますし、スーツで合わせた靴をカジュアルな服装に合わせることができるというメリットがあります。
デニムと茶靴の相性は抜群によく、私はこれ以上デニムに合う革靴はないのではないかと思うほどです。
タッセル
タッセルが付いている革靴って可愛いですよね。そんなタッセルやキルトなどがついたスリッポンはやはり足首を見せて涼しげに履くのが一番です!そうなるとよくお客様から「ソックス履かないんですか?」と聞かれますが、「履いて下さい!裸足は雑菌が繁殖しやすくなりますからね」と答えます。浅履きの男性用ソックスも販売されていますので、是非このソックスを履いてスリッポンを履いて頂ければ足は臭くなりにくいですよ。
ブーツ
グレーパンツ×ブラウンブーツ、カーキパンツ×ブラックブーツなど少し渋めのパンツの色とブーツは相性がいいですね。またブーツの素材がスムースレザーツヤ革、オイルレザー、またスエードにするかにより大分雰囲気は変わります。ブーツを履くだけでかなりワイルドな感じが増しますので、イメージを作るためにもブーツをファッションに取り入れてもいいと思います。
デッキシューズ・スリッポン
デッキシューズは本来甲板の上を歩くための靴ですが、今回はファッションとして考えてみようと思います。デッキシューズはデニムで合わせても良いですし、夏場はショートパンツで合わせても似合います。デッキシューズは春夏で多く販売されるため涼しげなファッションのイメージが多いですよね。こちらもソックス問題が上がりますが、浅履きソックスを履いて下さいね。
【番外編】スニーカー
スニーカーは番外編になりますが、軽くて屈曲性のよいスニーカーは革靴よりもラフに履けて足のストレスも少ないとてもいい靴ですよね。スニーカーでもシンプルコーデがマッチしておしゃれに見えますね。
革靴のお手入れ方法をご紹介します!
「革靴ってお手入れしなきゃいけないんでしょ?」とお困りな皆様、ご安心下さい。元靴磨き職人のHIROsophyがしっかり靴磨きサポートを致しております。
通常のスムースレザーの靴磨きをしたい方はこちら!
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革靴とファッションを考える
革靴の魅力はやはりファッションの一部という点ではないでしょか?今回おすすめの10ブランドは製靴業の歴史も長く、今も拘りを持って革靴を作り続けているブランドでした。この歴史ある革靴を履きこなすには革靴が生まれた背景を理解し自分のファッションと組み込むことでより自分自身が新しいファッションを生むのだと思います。いい靴は飾っておかずにどんどん履いてファッションを楽しみましょう!
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