仕事柄お客様にサイズを伺うことは多くありますが、革靴の試着時スニーカーのサイズをお答えする方がかなりいらっしゃいます。
革靴のサイズとスニーカーのサイズは違うものという認識がない場合革靴の試着をスニーカーのサイズで行い「あれ?俺、足が小さくなった?」と驚く方が結構いらっしゃいます。
「ご安心下さいお客様、足が小さくなったのではなく革靴はスニーカーよりも大きく作られているためサイズは小さくなるものです。」
と私はお伝えしますがかなりのお客様が半信半疑でございます。
そこで今回はなぜスニーカーのサイズと革靴のサイズは違うのかをご説明したいと思います。
自分のおおよそのサイズを知っておくことで次回革靴を購入する際スムーズになりますので、ぜひ参考になさって下さいね。
スニーカーと革靴のサイズ表記の違い
スニーカーのサイズと革靴のサイズは実は全然違うという事実をご存知ですか?
そのため革靴をスニーカーのサイズで選んでしまうとサイズが合っていないため足のトラブルを引き起こしやすくなるのです。
革靴は足入れサイズ
革靴の場合は、1983年のJIS(日本工業規格)規格に基づき足入れのサイズ、つまり履く方の実際の足のサイズを表記しています。
例えば25cmという表記の革靴の場合、履く方の足の実際のサイズが25cmの方向けに作られているため実際のソールの長さは捨て寸を入れ25cm以上あります。
おおよその基準になりますが、スニーカーのサイズから1.0〜1.5cmを引いたサイズが革靴のサイズになります。
例えばスニーカーを26.5cmで履いている方の革靴のサイズは25.0〜25.5cmです。
革靴のサイズを聞かれて忘れてしまった場合はスニーカーサイズから1.0〜1.5cm引いたサイズで答えておけばそこまで大きな差異はないでしょう。
1.0〜1.5cm引いたサイズというのは必ずしも絶対というわけではなく、「目安」程度だと思って下さい。
革靴のフィッティングをする際サイズの数字に捉われ過ぎると正しいサイズを選択できなくなります。
時々いらっしゃいますが「俺は25.5cm以外履いたことがない!」と何のブランドであっても、どんなワイズであっても25.5cmを選ぶと大失敗の元になりますのでご注意下さい。
スニーカーは木型(ラスト)のサイズ
スニーカーのサイズは捨て寸を含めた全長のサイズを表記している場合が多いです。海外のサイズ表示の方法はイギリス、アメリカ、フランスサイズが一般的に使われ日本の足入れサイズとは異なります。
国が違えば単位、サイズ間の等差も異なるため日本のサイズに換算するのは非常に難しく革靴のサイズにプラス1.0〜1.5cmしたものと表現しました。
つまり実際の足のサイズが25cmの場合スニーカーのサイズ表記が25cmの靴では入らない(小さ過ぎる)ということになるため、足のサイズが25cmの方は約1.0〜1.5cmプラスしたサイズの26.0〜26.5cmを履くことになります。
私が過去10年以上足とサイズの関係を接客の中で調べた結果、ほとんどの方が実寸プラス1.0〜1.5cmでした。
極端に足囲が広い方はその限りではありませんが、実寸プラス1.0〜1.5cmのサイズを選べばスニーカーの適正なサイズになります。
自分の足のサイズを知る
自分のサイズを知っておくと靴を購入する際やインソールなどを購入する際はスムーズになります。またおおよその靴のサイズを知っているだけでも見当違いなサイズを購入し失敗してしまうといったことも防げます。
自分の足のサイズの測り方
ご自分で測りたい場合は平らで水平なところで平均的に体重をかけて立った状態で足の下に白い紙を置き、かかとの一番端の部分とつま先の一番長い指の先にペンで印をつけます。そしてその直線の長さを測ることで実寸が分かります。
ご自分で計測した場合正確な数字がとれないこともあり、おおよその目安になりますが目安を知るというのは靴選びの際とても重要です。
足のサイズにも関係していますが、足のつま先の形は3種類に大別され、どの指もほぼ同じ位置の長さの「スクエア型」、第二指よりも親指の方が長い「エジプト型」、第二指の方が親指よりも長い「ギリシャ型」があります。
私の足の指の長さを見ると第二指が親指よりも長い「ギリシャ型」のように見えます。
そして実寸はオーダーメイドのインソールを作った際に計測した23.8cmです。
足のつま先の形によって自分に合ったトゥを選ぶことができるので足のつま先の形が3種類のうちどれなのかを知っておくと便利です。
サイズ表記の見方
一つの靴に対してたくさんのサイズ表記がありますが、国際的なブランドになると海外に輸出・輸入するためサイズの表記はたくさん書かれています。
上からUS8、UK5.5、EUR 39、cm25と続いていますね。
BRはブラジルの表記、CNは中国の表記です。日本はといいますとブランドにより違いますがJPと書かれています。
※写真は私のスニーカーのためレディースシューズのNIKEです。
日本工業規格のサイズ表(JIS規格)
日本の靴のサイズは日本工業規格(JIS規格)を元に作られています。
ウィズなどのサイズ表は神戸シューズのHPが分かりやすいためそちらをご覧下さい。
サイズは足長だけでなく足囲と足幅によって決まります。
足長 レングス
踵が一番出っ張った部分から最も長い指の先端までを指します。
足幅 ワイズ(ウィズ)
足の踏み付け部の親指と小指の付け根の間、ボールジョイントといわれる部分の幅を指します。
ボールジョイントという言葉は靴屋で革靴のストレッチをする際に「ボールジョイントを伸ばす」というような表現をします。革靴を履いて圧迫のために痛くなる場所の一つです。
足囲 ガース
ボールジョイントを1周する距離を指します。
足囲は他の部分を指す場合もあり「二の甲(ウェストガース)」、土踏まずの上の部分を「三の甲(インステップガース)」、楔状骨(先は中足骨に踵のほうは舟状骨に連なる3つの骨)から踵下部にかけて周囲を測る「ヒールガース」などが用いられます。
靴に書かれているワイズについて
日本では日本工業規格(JIS規格)で決められた幅があり、細い方からA・B・C・D・E・EE・EEE・EEEE・F・Gがあります。
FはEEEEEとも表記されている場合があります。
つまりAが一番細くGが一番広いということになり、Eに関してはEの数が増えるとより広くなります。
日本のブランドの靴の裏を見ていただくと足幅の広さを強調している品番にはワイズの表記があります。
それはそのブランドの中でも「特に足幅を広く作っています」というアピールにもなります。
例えば、アシックス・リーガル・マドラス・スコッチグレイン・ゴルフなどはワイズの表記があるため比較的分かりやすく選びやすいです。
海外サイズ換算表
紳士靴のサイズ換算表です。
婦人靴はまた別になりますので、ご理解下さい。
アメリカサイズはUS、イギリスサイズはUK、ヨーロッパサイズはEUと表記されている場合が多いです。
日本サイズ | 24.0 | 24.5 | 25.0 | 25.5 | 26.0 | 26.5 | 27.0 |
アメリカサイズ | 6 | 6.5 | 7 | 7.5 | 8 | 8.5 | 9 |
イギリスサイズ | 5.5 | 6 | 6.5 | 7 | 7.5 | 8 | 8.5 |
ヨーロッパサイズ | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 |
失敗しない革靴のサイズフィッティング、確認して欲しいポイント
革靴のサイズフィッティングのやり方
ここまで読んでいただいた方はスニーカーと革靴のサイズが違うことをご理解いただけたと思いますが、今回はフィッティングが難しい革靴のフィッティングについてご紹介します。
- 正しい捨て寸の確保
- つま先が先端に当たっていないか
つま先が靴の先端に当たった場合は痛みが生じるのですぐに気づくと思います。 - 自分の足と革靴の屈曲部分が合っているか
足を返した時に屈曲する部分に痛みがある場合は屈曲部分が合っていない可能性があります。 - 足の幅、足の甲の高さが合っているか
接客していて難しいと思うのは足の幅より足の甲の高さで、ここが合っていないとプカプカとした空間ができてしまいます。 - 自分の足のアーチと革靴のアーチが合っているか
革靴の中でもアーチを強調しフィット感を良くしたものは少しのズレでもかなり違和感があります。 - 履き口の位置は合っているか
履き口がくるぶしの下に食い込む場合はサイズを変更するか革を伸ばすなどの微調整が必要です。 - 踵周りの形状が合っているか
踵のアールの形状が合っていないと隙間ができたり、歩くたびに踵が動いてしまったりします。
文章で注意点を読むと「なるほど」と思うかもしれませんが、実際店頭で自分の足に合った革靴を1回で見つけるというのは私の経験上難しいと思います。
特にローファーなどのスリッポンになるとより難易度は増し、押さえる部分が少なくなることで踵が抜けやすくなるためより踵周りや甲の高さのフィット感が求められます。
革靴をフィッティングする際に気をつけて欲しい3つのポイント
- 靴下は革靴を履く時の薄手を穿いてフィッティングしましょう
- 足が浮腫む夕方以降がおすすめです
- 実寸を中心に一つ大きいサイズ、一つ下のサイズも試しましょう
「そんなことか」と思った方も多いと思いますが、実際店頭でこの3つを守らないためサイズが合わないという方はいらっしゃいます。
特にスポーツソックスで革靴をフィッティングした場合はワンサイズ以上実際のジャストサイズとは差異が出ます。その場合正確なサイズは分からず、自宅に帰っていざ実際に履く時になると靴擦れを起こすほど大きすぎるということにもなります。
大きいサイズを選ぶことのメリットはないので足の健康のことも考え、合ったサイズを選ぶことをおすすめします。
実寸と同じサイズの革靴を選んだからといって安心はできません。
確かにJIS規格によって日本の革靴は足入れサイズになっていますが、ブランドやメーカー、木型によって差はあり実寸よりワンサイズ小さいサイズの方が履きやすい、またジャストサイズになる場合がよくあります。
数字に捉われてることなく、実際に足入れをしてみて歩きやすいサイズを見つけましょう。
自分のサイズを知ることで自分を知ることになる
自分の身長や体重をほとんどの方が即答できるように、自分の足のサイズを知っているというのは自分自身を知る上で重要なことです。
サッカーの選手はサッカーシューズをピチピチのサイズにするとよく聞きます。最高のパフォーマンスをするにはピチピチのサイズが一番良いから、ということになります。
ビジネスマンの方もサッカー選手も同じことがいえます。
ビジネスでも合ったサイズの革靴を履くことで最高のパフォーマンスができます。ぜひ、ご自分のサイズを知って人生の最高のパフォーマーになって欲しいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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