革靴好きなら一度は興味を持つ鏡面磨き/ハイシャインですが、練習に練習を重ねてもなかなかできないという方は多いと思います。
今回は鏡面磨き/ハイシャインのやり方と失敗例についてご紹介します!
鏡面磨き/ハイシャインのやり方はインターネットなどで調べればすぐに出てきますがあまり細かなやり方を教えているサイトがないことに気づき今回細かく細かく徹底的に写真を見ながら解説したいと思います。
鏡面磨き/ハイシャインはコツさえ覚えればすぐにできます。
しかしその〝コツ〟を覚えることが難しいことは私もよく理解しています。
よくある失敗例を見ると鏡面磨き/ハイシャインの〝コツ〟がお分かりいただけると思います。
ぜひ参考になさって鏡面磨き/ハイシャインを楽しんで下さいね。
鏡面磨き/ハイシャインの方法
鏡面磨き/ハイシャインをするために使う道具
- 馬毛ブラシ
- クリーナー(汚れ落とし)
- 保革用クリーム(またはオイル)
- クロス
- 豚毛ブラシ
- 補色用クリーム(靴クリーム)
- ペネトレイトブラシ(アプライブラシ)
- レザーソール用オイル
- ワックス(ポリッシュ)
- シューツリー
靴磨きをする際に忘れちゃいけないのがシューツリーの存在です
靴磨きをする場合はシューツリーを入れ型崩れを防ぎましょう。革靴自体を手で押さえたり、ブラシを当てたりする際にシューツリーが入っていないと革がしなりしっかりと磨けません。
革靴をブラッシングし埃を払う
基本中の基本ですが、コバ付近は埃が溜まりやすいので念入りに馬毛ブラシでブラッシングをしましょう!
馬毛ブラシの使い方はしっかりと溝の奥まで毛先を入れ掻き出すイメージです。
表面を撫でるのとは違います。
ブラッシングで落ちきらない汚れをクリーナーで除去
汚れ落とし(クリーナー)を使う際は綺麗なクロスを使用しましょう。
綺麗なクロスに汚れを吸着させるイメージです。
今回はサフィールのレノマットリムーバーを使用しています。
このように汚れがクロスに付着しますので、常に綺麗な面で拭き取ることを心がけましょう。
そして隅から隅まで拭き取ることでクリームがのりやすくなります。
クロスに巻く指の位置をずらすことで綺麗な面を常に使用することができます。
保革効果の高いリッチモイスチャーを塗布
今回はしっかりと保革したいため、ブートブラックのリッチモイスチャーを使用します。
コロンブスのリッチモイスチャーは、オーガニックのアルガンオイルを贅沢に使った皮革用クリームです。
天然のアルガンオイルが素早く皮革に浸透し潤いと栄養、柔軟性を与えます。
アルガンオイルは化粧品にも使われている高級オイルです。成分はろう、油脂、乳化剤、水です。
馴染ませるという意味でもブラッシングをします。
手早く全体的に、クリームを塗り込んでいきます。
革靴の色に合わせたクリームを使い補色
ニュートラルは万能!?
ではありません。
どんな色でも靴クリームはニュートラルを使う方もいますが、ニュートラルでは補色ができません。
そして、ニュートラルは色抜けしやすくなります。
黒い革靴がだんだん灰色っぽくなっていったり、「なんか元の色と違うなぁ」と思ったらニュートラルで磨き続けたせいで色抜けしていたりすることはよくあります。
靴クリームには染料の成分も入っているので、革靴に近い色を使うことで補色できます(全ての革靴が補色できるわけではありません)。
ペネトレイトブラシで革靴全体に満遍なく塗り込みます。
この時一度に大量に靴クリームをとるのではなく少量を何回かに分けて塗ると効果的です。
一度にたくさん塗ってしまうと仕上がりが綺麗になりません。
腕の振りは大きく、長いストロークで豚毛ブラシでブラッシングします。
イメージはしっかりと毛先をアッパーに当てる感じです。
豚毛ブラシからの馬毛ブラシ!!
ソールケアも忘れずに
次の作業に移る準備をしながらサフィールのソールガードを革底に塗布。
レザーソールは半年に一度はケアしたいですね。
レザーソールは革であることに違いはないため、油分が抜けるとひび割れなどがしやすくなります。
ソールを長持ちさせるためにはしっかりと保革してあげることが重要です。
サフィールノワール ソールガード 100ml
アボガドオイルとセサミシードオイルなどの天然植物原料100%の革底専用オイル。
油分が皮革繊維を強靭にし乾燥やひび割れを防いでくれます。
撥水効果もあるため雨に濡れても水分を吸ってしまうことを防ぎ、また摩耗も軽減されます。
植物性油分 フランス製
鏡面磨き/ハイシャインのためのワックスを準備
ここからが本番!!
サフィールのビーズワックスポリッシュを使って鏡面磨き/ハイシャインをしていきます。
用意しているのは粘度の違うワックス2つ。
なぜ粘度の違うビーズワックスポリッシュを2つ用意しているのかというと使い分けるためです。
ビーズワックスポリッシュの硬さには好みや個人差がありますので、私はビーズワックスポリッシュにヒビが入っているくらいが使いやすいです。
柔らか過ぎるビーズワックスポリッシュは固まらず時間がかかり過ぎるので蓋を開けたまま数日放置し乾燥させて自分の好みのワックスを作っています。
サフィール ビーズワックスポリッシュ 50ml
高級カルナバワックスと蜜蝋を使った伝統的なワックスです。
上質な光沢と高い保革効果があります。
種類:油性 フランス製
ワックスを爪先に押し込んでいく
色々なやり方がありますが…
私は指で塗り込んでベースを作るのが早いと思っています。
イメージとしてはワックスを塗るのではなく押し込む感じです。
この時フニャフニャなワックスではなく多少硬い方が使いやすくしっかりとベースができます。
鏡面磨き/ハイシャインのベースを作る
ワックスを何重にも塗り重ねる。
ワックスをただ塗り重ねると曇ります。
しかしこれでいいのです!!
何度もワックスを塗り重ねる
「全然光ってない…」
ワックスが乾いたところでほんの少しだけ水を垂らします。優しくゆっくり円をかくようにクロスで磨いていきます。
ここからがクライマックスです!
ワックスが固まったら水研ぎをする
ワックスと水を交互に。
ワックスに厚みができたら「水研ぎ」をします。
水研ぎとは湿らせたクロスでワックスを押し込んでいく作業のことです。
私はかなり強い力を入れて水研ぎをしています。
しっかりとワックスを押し込んでいく
艶が出る!!!
水研ぎをすると曇りが晴れて艶が出ます。
この作業にはスキルは必要なくただワックスを押し込めばいいだけなので、誰でもできます。
鏡面磨き/ハイシャインが完成!!
今回はサフィールのポリッシュだけで仕上げています。
もっと透明感を求めるならばサフィールのミラーグロスを仕上げ剤として使うと良いですよ。
鏡面磨き/ハイシャインが失敗するときの4つの原因
まさか失敗!?
全然光らないし、
表面はバサバサしてるし、
凹凸ができてるんだけど!
ご安心を、よくあることです!
原因①ベースができていない
→艶が出ない
ベースができていないというのはかなりよくあることのように思います。
しっかりある程度の厚みがないと全く光りません。
原因②水が多すぎる
→ワックスに穴があく、艶が出ない
「水をほんの少し」と先ほど書きましたが、〝ほんの少し〟の量が人それぞれだからです。
個人差がある感覚のため〝ほんの少し〟の量が多いと艶が出なかったり、ワックスが部分的に穴が空いてそこから水が染みるという現象が起きます。
原因③乾燥させていない
→ワックスが剥がれる
鏡面磨き/ハイシャインのコツには〝乾燥〟という工程が必要です。
乾燥していない状態のワックスに水を垂らしクルクル擦るとヌルヌル溶けたり、剥がれたりします。
そのため乾燥させることはめちゃくちゃ重要です。
原因④しっかりワックスを押し込んでいない
→艶が出ない
「艶感がイマイチ…」光はするけど少し曇っている、という状態の場合は「水研ぎ」によりワックスをしっかり押し込みましょう。
鏡面磨きが苦手な方にはミラーグロスがおすすめ!
靴磨き職人の間では、「誰でも簡単に鏡面磨きができる」と言われていました。
ミラーグロスは使ってみると分かるのですが、鏡面磨きで使用するとワックスよりも硬くなり、アッパーとミラーグロスとの間に厚みがあるのが分かります。
硬さ故なのか透明感と艶感が出やすい印象です。
サフィールノワール ミラーグロス(革靴鏡面磨き専用ワックス)75ml
より早く、強く、光らせるために開発された鏡面磨き用ワックス。
カルナバワックスやモンタンワックスをはじめとした高級天然ワックスをふんだんに使用。
種類:油性 フランス製
方程式のある作業が鏡面磨き/ハイシャインである
鏡面磨き/ハイシャインには方程式があります。
つまり鏡面磨き/ハイシャインができる条件は決まっているということです。
それさえ分かると「あー、なるほどね!」といった具合に理解できるようになります。
ただ理解しても実際やってみるとうまく光らなかったりと苦労はあるかもしれませんが、傷補修で革と同じ色を作り出す時の苦労を思うと楽かなと思います。
鏡面磨き/ハイシャインは気温や湿度も仕上がり時間などに大きく影響します。
夏に鏡面磨き/ハイシャインをするよりも冬に鏡面磨き/ハイシャインをする方が早く仕上がります。
時間配分を考えながら行っていた靴磨き職人の頃はクーラーや扇風機などを駆使し早く仕上げることを考えていました。
様々な条件が揃うことで鏡面磨き/ハイシャインは輝きます。
ぜひ皆様、鏡面磨き/ハイシャインの方程式を見つけて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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