革靴を購入したら今後お手入れをしなければいけないという責務を感じている方が大半だと思いますが、革財布の場合はいかがでしょうか?
以前働いていた時の部長が私が靴磨きついでに革のキーケースを磨いていたら呆れ
「キーケースを手入れする人はいないよ」
と言いました。
「部長、それはおかしいですよ。キーケースといえども革には違いありません。しっかりお手入れしてあげないと可哀想じゃありませんか!」
とは言えませんでした…が、革靴はお手入れ必須で革小物はお手入れは要らないという理由はないのです!
今回は革財布のお手入れ方法とお手入れのメリットをシェアします!
最後までお付き合い下さいませ!
革財布をお手入れした時のメリット
まず革財布をお手入れをする“理由”がはっきりしないとやる気が起きませんよね。
革靴好きの皆様はすでにご存知かと思いますが、再度おさらいとして「なぜお手入れをするのか」という根本的な部分を考えてみます。
“皮”は鞣という工程を経て“革”になります。
製品化された革には油分がいくらか含まれており、消費者の手に届くまでにその油分が失われていることもあります。
油分が失われた革は人間の皮膚と同じように繊細で脆くなってしまいます。
人間の肌が冬場の乾燥で切れたり痒くなったりすることと同じように、革もベストコンディションではなくなってしまうのです。
【メリット1】傷がつきにくくなり、汚れにくくなる
革靴は外で履くため傷は非常につきやすく汚れやすいのですが、革財布も爪で引っ掻いたりまた落としたりすることもあります。
傷がついてしまうことは仕方がないのですが、お手入れをすることでその傷がつきにくくなります。
また汚れの付着もしにくくなるというメリットもあります。
クリームを革財布に塗布することで革の表面に薄い膜を張り汚れが付着した場合革がすぐに吸い込んでしまうことを防いでくれます。
【メリット2】柔軟性が生まれひび割れしにくくなる
革財布はその特徴から「折り曲げたり」「広げたり」という動きをよくしますよね。
革に油分があれば何でもない動作であっても革に油分が足りないとその屈曲という動きに耐えられなくなりひび割れを起こしたりもします。
油分を与えることで柔軟性が生まれ屈曲に強くなるというメリットがあります。
【メリット3】耐久性の向上
傷つきにくくひび割れしくい状態はとても耐久性に優れています。
つまり結果的に長く使えるということになります。
せっかく様々な工程を経てあなたの元にきたのだから、長く愛用して下さいね。
【メリット4】エイジングを楽しめる
革の種類にもよりますがヌメ革などはエイジングが一番楽しめる革です。
エイジングは経年変化ともいいますが、恰好よく歳をとってくれた革は最高の貫禄を放ちます!
「渋さが魅力!」と言いたくなるほど、お手入れをすることで味わいが出てきますよ。
【メリット5】唯一無二の自分だけの革財布が育つ
世界中に同じ商品がたくさんあると「これ流行ってるから誰かと被っちゃうな」と考えたことは誰しもあると思いますが、革財布は確かに同じ商品が複数あったとしても所有者の扱い方によってその色や風合いは変わってきます。
それが革の最大のメリットで世界に同じ状態の革財布は実はないのです!
「被っちゃう」と気にしなくても大丈夫!!
革財布のお手入れ手順
【重要】まず革財布の革の種類を事前に確認する
かなり重要なポイントは革の種類を知るということです。
革靴でもそうですが、スエードとスムースレザーのお手入れ方法が全然違うように革財布も革の種類によってお手入れ方法は変わります。
例えばクロコダイルの革に靴用艶出しのニュートラルのクリームを塗らないように、革に合ったクリームやケア用品が存在します。
特殊革などは専用のケア用品があるため牛革のスムースレザー用を使うことでシミになったりします。
まずは表示などを見て素材が何であるかを確認しましょう。
革財布のお手入れに必要な道具
- 馬毛ブラシ
- 磨き上げ用ブラシ
- 艶出しクリーム
- デリケートクリーム
- シャイニンググローブ
コロニルのシュプリームは1909年に設立されたザルツェンブロット社が設立100周年を記念し発売した1909シリーズのクリームです。
シダーオイルとラノリンなどの天然成分をブレンドしたレザークリームはバランス良く保革・栄養・柔軟性を与えます。
またフッ化炭素樹脂が撥水効果をもたらします。
私はそのために革靴のプレメンテナンスはシュプリームを使っています。
まずは革財布の中身を全て出しましょう
カードやお札、小銭が入っている状態で磨くとボコボコしているため綺麗に磨けませんし、小銭の跡が革に残ったりすることもあるため一度全て革財布の中から出して何も入っていない状態で磨きましょう。
革財布を馬毛でブラッシングをしホコリを払う
まずは靴磨きと同じようにブラッシング。
革が重なっていたり複雑な作りになっている部分に溜まっている埃などをクリームを塗布する前にブラッシングします。
埃とクリームが混ざると余計に汚くなりますのでしっかりとブラシで払いましょう。
紗乃織刷子は馬毛ブラシの中では珍しい「馬のたてがみ」を使用したブラシです。持ち手には天然のブナの木を使い持ち手のサイドには溝を作り手から抜けないように工夫を施しています。
毛は馬毛と山羊毛の中間くらいの柔らかさがあり、埃を払うことも仕上げブラシとして使うこともできます。
汚れがひどい時は革用クリーナーを使う
あまりにも汚れがひどい場合は素材を確認しクリーナーを使用。
コロンブスのブートブラックツーフェイスローションは水性の汚れと油性の汚れを落とすことができる2層のローションです。
この2層は分離しており使うときに軽くボトルを振ることで混ざり合います。
白濁したら出来上がりです。
革用クリームを塗布する
下地はSAPHIRのデリケートクリームを使い、艶出しとしてコロニルのシュプリームを使っています。
ブラッシングをする
クリーム塗布後はしっかりとブラッシング。
ここでのブラッシングはかなり重要で艶がしっかりと出るかどうかはこの瞬間にかかっています。
磨き上げる
さらにシャイニンググローブなどを使い磨き上げます!
これは仕上げです。素早くグローブで磨くことで艶が一層出ます。
どぉや?
艶が出てるやろ?
革財布の傷をお手入れする
革財布は使っていれば必ず傷付きますし、傷つくことで味わいが出るのですが気になる場合は傷を補修することで見栄えは良くなります。
写真はビフォーアフターです。左側が傷のついた状態で、右側がお手入れ後の状態です。革は元々柔軟性を持っているのでしっかりと油分を入れてあげ浸透させることで目立たなくさせることは容易にできる場合があります。
革に適したクリームを手で塗り込みます。
揉み込むイメージで押し入れていきます。
軽くブラッシングをすると傷は目立たなくなります。
サフィールのデリケートクリームをワックス成分が弱いため艶が出ません。一見艶が出ないというのはマイナスのように感じますが、艶が出ないために靴磨きの時下地に使えたりヌメ革など元々マット革に使え雰囲気を壊すことなく仕上げることができます。
私は様々なブランドのデリケートクリームを使いましたが、一番気に入っています。
革財布をお手入れしなかった場合どうなるの?
革は人間の皮膚と同じようなところがあり乾燥や紫外線などに弱いです。
そのため適宜お手入れしてあげないとひび割れや傷などが目立つようになります。
エイジングを楽しんで革財布をお手入れし長持ちさせよう!
お手入れとエイジング(経年変化)は切っても切れない関係性にあります。
革財布などを所有した場合やはり楽しみは「革特有の味を出したい」ということではないでしょうか。
「革財布はお手入れプレッシャーがあって憂鬱」とならない程度に楽しみながらお手入れをすることで世界に一つだけの革財布ができ上がります。
革財布や革靴は所有者のお手入れにより経年変化の仕方は変わります。
同じ既製品であっても誰が持つかによってその後の風合いは変わること、それこそが革の醍醐味であり所有者の特権ですね。
愛情をたくさん注いであげることで革財布含む革小物や革靴は必ずあなたにお返しをしてくれます。
その喜びはあなたと一緒にいる年月と共に深まっていきます。
私は革財布とあなたの豊かな人生を応援します!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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